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by nadfngadi

第21回 時の政権と経済の関係はどうなっているのか③

前回に引き続き、ここ10年の政治・経済がどういうものであったかを、自分の頭の整理の為にざっくりとまとめています。今回は、小泉政権の2回目で、2002年から2003年辺りを記載しています(グラフ:オレンジの丸印の箇所)。
【小泉政権②=緊縮財政+対米隷属】××××××
■2002年~2003年
エコノミストの植草一秀先生は、「2002年度も前年度と同様に補正予算が必要になるから、早期に方針を明示して経済心理の悪化を未然に防ぐべき」と竹中経済相へ提案しました。
しかし、竹中現職大臣は「補正予算編成などは愚の骨頂」と発言し、日経平均株価が1万円を割ります。その直後、小泉首相は9月17日に北朝鮮へと向かいます。国民の関心は、拉致問題へ向かいました。

そして、その2週間後、内閣改造が実施されます。

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この内閣改造で、現職経済財政担当大臣の竹中氏は、金融担当大臣をも兼務します。
竹中氏の金融担当大臣兼務を、政治専門家は、米国政府の指示だと指摘しています。
仮にこの指摘が正しいのならば、竹中氏は、現職大臣の立場を利用して、「外国資本への利益提供を行ったのではないか」という事象が、これから起こります。

竹中氏は、「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム(PT)」を発足し、10月30日に「金融再生プログラム」を発表します。このプログラムは、金融機関(銀行)の不良債権処理方法を見直すもので、銀行が持っている資産を厳格に査定し、自己資本の充実を図り、ガバナンスを強化することを目的にしたものです。

銀行の業務は、自己資本比率のパーセンテージで、国際的ルール(BIS規制=国際決算銀行による規制)によって区分されています。8%以上が国際業務、4%以上で国内業務です。

竹中大臣は、自己資本算定ルールの厳格化を試み、「繰延税金資産5年計上」を変更しようとします。
【繰延税金資産とは何か】
銀行は、融資先が倒産することを想定し引当金を積みます。この引当金からは税金が引かれます。繰延税金資産とは、『引当金(=融資先が倒産することを想定した金額)から引かれる税金が戻ってくる(=融資先が倒産する)と銀行が想定した』、通常5年分の金額のことです。
金融機関の自己資本比率算出では、繰延税金資産を自己資本に繰り入れることを認めています。

2003年に預金保険法第102条第1項第3号(破綻処理)が適用された栃木県の地銀「足利銀行(現、足利ホールディングス)」では、自己資本の内、繰延税金資産が約9割も占めていました。金融庁や監査法人は、「足利銀行は、今後5年間で同行が想定する利益は稼げない」と判断し、自己資本に組み入れていた繰延税金資産を認めませんでした。

この繰延税金資産を何年計上とするかが、本題です。
繰延税金資産は、自己資本に組み入れられますので、計上年数が通常の5年なのか、それとも3年、1年等なのかによって、金額が著しく減少し、それに比例して自己資本比率が大きく落ち込みます(超巨大なインサイダー疑惑が漂います)。自己資本比率が0%を下回れば、債務超過となり、その銀行は、破綻となります。

疑惑の筆頭と考えられる竹中氏は、銀行の2003年3月期決算から、繰延税金資産の計上限度を米国基準と同じTier1(ティアー1:資本金、剰余金等の自己資本の基本的項目)の1割に圧縮しようとします。これに対し、銀行界は当然、猛反発しました。唐突すぎますし、そんなことをしたら、前述の預金保険法の破綻処理をしなくてはいけない可能性があったからです。

銀行の自己資本には、保有株式の含み益の45%が自己資本に組み入れられていましたが、冒頭で述べた、竹中氏の「補正予算編成などは愚の骨頂」発言による株価暴落で、銀行の保有株式含み益は激減しました。当然、銀行の自己資本比率は急低下します。ほとんどの銀行の自己資本比率は8%を割り込み、国際業務からの撤退を余儀なくされました。

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出所:植草先生の書籍『知られざる真実 -勾留地にて-』を参照

第23回へつづく

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by nadfngadi | 2008-08-06 23:39